
(取材日=2011年2月17日)
- 和田
-
でも、よく現役で卒業したよね。
頑張ったよ、細江さん。
- 細江
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もう私には無理だ…っていつも思いながらも、
アッという間に3年間が過ぎちゃった。
そういえばこの前、
斎藤誠調教師とお話ししてて、意外なことがわかったの。
斎藤さんも乗馬未経験で厩務員課程に入って、
落ちこぼれだったんですって。
それで、辞めよう辞めようと思ってたんだけど、
ふと騎手課程を見たら、
自分より悲惨な女の子がいたって(笑)。
〝女の子でも頑張ってるんだから、
僕もあの女の子が辞めるまでは頑張ろうと思ったら、卒業できた〟って。
その女の子が私だった(笑)。
- 和田
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すごいやん!
ひとりの人間を救ったってことやろ(笑)。
- 細江
-
そうそう、今やGIトレーナーですからね!
- 和田
-
細江さん、競馬学校に入った意味があったね(笑)。
でも、なんだかんだいって、
俺らの期はそれなりにまとまってた気がするよ。
それぞれキャラクターが確立されてたっていうか。
- 細江
-
うん。
当時も今も、個々がしっかりしている気がする。
- 和田
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当時もそれほど悪いことしなかったよね。
お菓子を買いに行ったとか、その程度。
- 細江
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思うんだけど、
お菓子を食べることにしても、
禁止されてるから意識がそっちにばかり向いてしまうわけで、
もうちょっと自由にさせてくれたほうが、
逆に無駄な時間を過ごさなくて済んだのかもしれないなって。
- 和田
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〝お菓子はダメ!〟
って、完全に子供扱いやったからなぁ。
- 細江
-
そうだ、お菓子で思い出したけど、
田村真来ちゃんと
〝どうしても許せない!〟
って言ってた出来事があって。
和田クンたちが実家に帰ったときに、
うばがもち(滋賀の郷土菓子)を買ってきてくれたとき、
由貴ちゃんに渡したでしょ?
- 和田
-
そうやったっけ?
覚えてない(笑)。
- 細江
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ふと見たら、うばがもちの食べかすみたいなのがあったの。
それで真来ちゃんが私に「食べた?」って言うから、
「食べてないよ」って。
結局、由貴ちゃんが
全部食べちゃったっていう(笑)。
- 和田
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それが許せなかったんや!
そうか…ひとりに1個、買ってこなアカンかったんやな。
- 細江
-
そういうこと(笑)。
でも私、競馬学校に入ったころ、
体重が40キロなくて、太れ太れって言われて食べてたら、
逆に太り過ぎちゃった(笑)。
- 和田
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思春期の女性はそのあたりが難しいよね。
競馬学校も今はもっと厳しいらしいよ。
何度か体重オーバーしたら退学みたいな。
俺らのころは女性も含めて、
なんとかして全員卒業させてやりたいっていう雰囲気があって、
俺らも守られてる感があった。
でも今は、〝ついてこられないのなら辞めていい〟
みたいな感じらしいよ。
でもね、厳しすぎるくらいでちょうどいいんだと思う。
〝なんとか卒業できました〟
っていうレベルじゃ、
デビューしてから生き残っていかれへんもん。
俺だって、頑張っていたつもりだけど、
卒業してから全然足りないなって思ったよ。
- 細江
-
その姿勢が和田クンのすごいところだよね。
しかも、今も変わらない。
- 和田
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俺、もう一度競馬学校に戻りたいって思う。
今思えば、ダラダラ過ごしてたなって思うし、
もっともっとやれることがあったなって。
- 細江
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えらいねぇ。
その精神がすごい。
もし戻れたら何をするの?
- 和田
-
もっと実践的なトレーニングをやるな。
- 細江
-
たとえば?
- 和田
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たとえば……
んー、難しいな。
ただ、俺自身、なんとかデビューしましたっていうレベルだったから。
今でもしっかり乗れてるとは思ってないけど、
うちの先生(岩元市三師・現在はフリー)が乗せてくださったから今がある。
俺らのころより、
最近の若い子のほうが確実に上手い気がするから、
デビューした時点である程度のレベルにあれば、
もっと成績を挙げられたんじゃないかって。
- 細江
-
模擬レースの数も、今のほうが多いもんね。
- 和田
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時代的には今のほうが厳しいけどね。
だって今、何が求められているかっていったら、
まず
外国人ジョッキーに勝たなきゃいけない。
日本人同士で争っている場合じゃないんだよ。
- 細江
-
確かにね…。厳しい時代よね。
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(第3回へ続く)