祝・ダービー制覇!四位洋文×池添謙一『〝ダービー〟というドラマを語ろう。』

(取材日=2011年6月9日)

〝ダービー1番人気〟の重圧とは!?

1週前の追い切り後に、グッと緊張が高まった

四位
改めて、ダービー優勝おめでとう。
池添
ありがとうございます!
四位
当日の夜は、
謙一のほうから〝勝ち祝い、行きましょう〟って誘ってくれてね。
デットーリとも偶然一緒になって、すごく充実した時間だった。
謙一は途中から覚えてないやろ?
池添
2軒目の途中からは、あまり覚えてません…(笑)。
でも、1軒目で四位さんが
『今日はどれだけ飲んでも酔わへんはずや』
って言ってたじゃないですか。
確かにその通りで、酔うっていうより、
フワフワしてる感じでしたね。
四位
GIを勝った夜って、そうなんだよな。
ましてやダービーともなれば、変に頭が冴えてる感じやろ?
池添
ホントにそうでした。
それで僕は、とにかく翌朝の新聞が楽しみで。
GIを勝った夜は、早く新聞を読みたくて
朝まで起きてるパターンがよくあるんです。
皐月賞のときがまさにそうでした。
四位
でもダービーのときは…
池添
ホテルに戻ったらもう朝でした(笑)。
それでも、一通り新聞を読んでから寝ましたよ。
こっちに帰ってきてからは、
トレセンで会う人全員に『おめでとう』って言ってもらえて。
普通に買い物に行った先でも、
店員さんに『観てました』って言われたり、
やっぱりダービーってすごいなって思いましたね。
四位
全然知らない人から握手を求められたり(笑)。
俺もダービーを勝ったとき、
トレセンのなかにも知らない人が
いっぱいいるんだなって実感したよ(笑)。
それにしても、ダービーの1番人気は大変やったろ。
皐月賞の夜から〝緊張〟が始まったんじゃない?
池添
皐月賞の夜は、勝ててホッとしたのが大きくて、
まだ実感としての緊張は沸かなかったですね。
ただ漠然と、これから1カ月、緊張するんやろうなぁって。
それから本番までは、毎日ダービーのことを考えてました。
普段と同じように生活して、週末は競馬に乗りながらも、
頭のどこかに常に〝ダービー〟があって。
四位
追い切りに乗ったり、取材を受けたりしているうちに、
どんどん緊張が高まってくるんだよな。
池添
そうですね。
1週前の追い切りあたりから、グッと緊張が高まりましたね。
すごく具合がいいのがわかったから、
これはますます負けられないと思うようになって。
それからは逆に、余計なことばっかり考えてました。
この馬にとって
ダービーは一生に一度しかないのに、
僕のせいで負けたらどうしようとか。
四位
レースが早くきてほしいような、きてほしくないようなね。
皐月賞からダービーまでの間に2回ご飯食べに行ったけど、
ダービーの話はあえてしなかったな。
池添
ホントは、いろいろ聞きたいことがあったんですけど…。
四位
たとえば?
池添
プレッシャーのこととか、どうやったら勝てるのかとか。
でも、レースはひとつひとつ違うから、聞くべきことではないなって。
四位
〝そんなの知らん〟で終わっちゃうよ(笑)。
池添
そう、だから聞かなかったんです。
答えは自分で見つけないとダメなんだと思って。
四位
1番人気になるのもわかってたわけやし、しかも週末は雨予報。
すごいプレッシャーやろうなって思ってたよ。
でも、結局本人にしか克服できないものだからね。
池添
でも、ドリームジャーニーの有馬記念で、
これ以上のプレッシャーはないっていうくらいの経験をしたので。
今回、そのときの経験がすごく生きた気がします。
自分を追い込みながらも、
緊張しすぎる一歩手前のギリギリのところで踏み止まれたというか。
自分で自分の緊張をコントロールできた気がしますね。

パドックで四位さんと目が合って…

四位
前の日は眠れた?
池添
京都から移動して疲れてたのもあって、普通に眠れました。
移動から食事までは、あえて皐月賞のときと
まったく同じローテーションにしたんですよ。
飛行機で移動して、同じタクシーに乗って、
競馬場の近くの弁当屋でカツ丼を買って(笑)。
デュランダルでスプリンターズSを勝ったとき、
前の日にカツ丼を食べたんです。
それ以来、
ここぞのときはカツ丼です(笑)。
四位
わかる、わかる(笑)。
俺も、勝ったときと同じ弁当屋に寄ったり、
同じコンビニに行ったりするわ。
俺のときもそうやったけど、
当日は誰も話しかけてこなかったやろ。
池添
見事にだ~れも
話しかけてこなかったです(笑)。
僕、あの日ダービーまでに5鞍乗ってたんですけど、
レース間隔が開いたときが緊張のマックスでしたね。
早く次のレースに乗りたくてしかたがなかった。
四位さんは、ダービーの日とか、
あまり(数を)乗りたくないって言ってましたよね。
四位
うん。
だから謙一にも〝なんでそんなに乗ってるの?〟って言ったんだよな。
でもまぁ、それは人それぞれだからね。
で、いよいよダービーっていうときになって…
池添
下見所で四位さんと目が合って。
僕、集中したくて、みんなと離れたところにいたんですよ。
それで、よし!って覚悟を決めてパドックに出て行こうとしたとき、
四位さんが黙ってうなずいてくれたんですよね。
四位
あのときは、グッドラック!っていう感じだったかな。
池添
僕は勝手に
『馬を信じてしっかり乗れよ』って
言ってくれてるんだと思いました。
改めてよし!って気合が入りましたもん。
それで、オルフェーヴルに跨ったら、
そこに自分しか知らない、いつものオルフェーヴルの背中があって。
不思議と落ち着けたんですよね。
スッと緊張が解けました。
四位
俺もディープスカイのときそうだったよ。
思えば謙一は、
毎年いい馬に出会うと
『この馬でダービー獲ります!』
って言ってたよな(笑)。
池添
はい。簡単に言ってましたね。
四位
いったい、何頭〝幻のダービー馬〟がいるんだよっていうくらい(笑)。
でも、オルフェーヴルに関しては、何も言わなかった。
簡単に〝勝てる!〟って言わなくなったのは、
キャリアを積んだこともあるんだろうけど、
ようやくわかってきたのかなって。
池添
ダービーに関しては、今年が7回目の騎乗だったんですけど、
去年ようやく競馬に参加できたっていう
実感があったんです(4着ゲシュタルト)。
一瞬先頭に立ちかけて、〝勝てるかも〟って思ったり。
四位
でも謙一、幸せだよ。
去年初めてそういう実感を得て、その次の年に勝てたんだからさ。
しかも7回目でしょ?
何年も何年も乗り続けて、勝てない人だってたくさんいるんだから。
俺もイシノサンデーのころは、
なにもわかってなかったから、
向こう正面で〝勝った!〟とか
思ってたけどね(笑)。
今思えば、俺自身、東京の2400mを大して勝ったこともないくせに、
まったく何を根拠に(笑)。
ドリームパスポートのときも、直線ですごい手応えでさ。
府中の坂下で、これはもう突き抜けるだろって思ったけど、
それでも3着でしょ。
やっぱりダービーは遠いな、いったいどういう馬なら勝てるのかなって、
すごく思ったもん。
池添
そうですよね、僕は幸せ者ですよね。
四位
デビューからずっと乗っていた馬で、それも1番人気で。
最高の勝利だと思うな。
 
(第2回へ続く)

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