
(取材日=2011年6月9日)
- 池添
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僕が四位さんに初めて会ったのは、実は小学校高学年のころなんですよ。
四位さんは覚えてないと思いますけど。
- 四位
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マジで!?いつ?
- 池添
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うちの親父が鶴留厩舎で助手をやっているとき、
僕も競馬場について行くことがあったんです。
で、四位さんが鶴留厩舎の馬に乗るとき、装鞍所に来るじゃないですか。
そのときに、うちの親父が
『アイツは馬乗りがうまいから、
よく見ておけよ。
いずれ上に行くジョッキーやから』
って、言ってたのを覚えてます。
- 四位
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へぇ~。そんなことがあったんだ。
- 池添
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だから、福永先輩に紹介してもらったあと、なにかきっかけがほしくて、
そのレースが終わってすぐに『四位さん、僕の今のレース、
一緒にパトロールビデオを見てください!』ってお願いしに行ったんです。
- 四位
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そうやったな。でも、謙一は最初からうまかったよ。華があった。
すごく覚えてるのが、森厩舎のサンダルウッドで勝った
京都の1000万(98年11月29日・京都芝1800m)。
内から一気に伸びて、すごくインパクトがあった。
この子はうまくなるわって思ったね。
- 池添
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僕は、四位さんの〝馬に乗る格好〟がとにかくかっこいいなって、
最初に見たときから思いました。
あとは、酒が強いところもかっこいいし、
酔っ払うと何を話したか覚えてないところも(笑)。
- 四位
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- 池添
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ですよね(笑)。あと、四位さんはとにかく馬のことを第一に考えてる。
目先のことだけではなく、馬の将来を考えてるところはすごいなって。
馬に対するその四位さんの考え方は、
僕も頭の中に入れておかなくてはいけないって思ってます。
四位さんの考え方は
ホントに四位さんだけのもので、
はっきり言って、ほかにいませんからね。
- 四位
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そう思ってくれてるのは、ホントにうれしいよ。
前にヤスくん(岩田康誠騎手)にも言ったんだけど、
少しでも俺と同じ想いがあるなら、ずっと持ち続けていってほしいと思ってる。
でも謙一は、馬をちゃんと信じて乗ってるよな。
だから大舞台に強いんだと思うし。
- 池添
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大舞台に強いっていうのはよく言われますけど、
自分では正直、わからないっていうか…。
- 四位
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覚悟があるっていうか、ホントに肝が据わってるよな。
俺自身も、わりとでかいレースに強いほうかなって自負はあるんだけど、
やっぱり謙一には負ける。
- 池添
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四位さんにそう言ってもらえるのは、
- 四位
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でも、北海道の芝2600mは絶対に負けへん!今年も楽しみやな~。
- 池添
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去年も芝2600mではコテンパンにやられましたね…(笑)。
そもそも北海道は2年目に初めて行って、打ちのめされましたからね。
全然勝たせてもらえなくて。
- 四位
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2年目?ああ、当時の謙一は全然ダメ。
何がダメだったかって、せっかく北海道に来てるのに、
コンビニで晩ごはん買っちゃうあたりが
ダメダメやった(笑)。
- 池添
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そこですか(笑)!
- 四位
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〝メシ連れて行ってください!〟とか言えばいいのに、
俺たちが出かけるころ、もうコンビニの袋下げて帰ってきてたやろ。
コイツはダメだなって思った(笑)。
- 池添
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はい…、ダメでしたね。
- 四位
-
それがいまや、パーッとシャンパン空けとるもんな(笑)。
謙一がデビュー当時から一番変わったのはそこ。
コンビニ弁当からシャンパンへ(笑)。
- 池添
-
そんなに飲んでませんよ!
- 四位
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いやいやいや、十分シャンパン王子やで(笑)。
でもマジメな話、ダービージョッキーになったからには、
酒場でもちゃんとせなアカンで。
自分は意識してなくても、
周りは『ダービーを勝った池添』っていう目で見るんやから。
そこは大事だと思うよ。
- 池添
-
札幌で気を付けなくちゃ…。
- 四位
-
いや、酒を飲んでないときもだよ。
- 池添
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確かにそうですね。普段から意識して行動しなくちゃって思います。
- 四位
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やっぱり競馬界は特殊な世界だから、たとえばトレセンの中では許されても、
世間一般では許されないことってあるからね。
ダービージョッキーなら、なおさら気を付けないと。なにかあったら、
これまでダービーを勝ってきた
先輩たちにも失礼やし、ダービーっていう
レースに対しても失礼になるから。
まぁ、横綱の品格みたいなもんやな。
新幹線のなかでも、バカみたいな話をでっかい声でしてたらアカンで(笑)。
- 池添
-
はい!肝に銘じます(笑)。
競馬に関しては、なにか意識したほうがいいことってありますか?
- 四位
-
マスコミに対しても関係者に対しても、発言力が大きくなると思うから、
馬を評価するときに、
自分の感情とか思い込みで発言しないようにすることかな。
俺も実際、馬に対する評価が慎重になったし。
とくに2歳馬なんか、これから謙一の評価はすごく影響が大きいと思うよ。
やっぱり、ダービージョッキーがほめれば、
それだけ周りの期待も大きくなるわけだから。
- 池添
-
わかりました。
もう簡単に『この馬でダービーを!』って
言わないようにしないと…(笑)。
騎手としては、これからどう変わっていったらいいですかね?
- 四位
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何も変わる必要はないと思うよ。
さっき謙一、『頑張るのは馬や』って言うたやん。
その気持ち、俺はすごく好きだよ。
でもまぁ『俺はダービージョッキーや!』って胸を張るのは、
あと1カ月ぐらいかな(笑)。
自分が思っているより、競馬の世界は流れが早いからね。
たとえば周りにもてはやされるようなことがあっても、
気持ちのどこかに冷めた部分を持っておいたほうがいい。
〝勝つべくして勝った馬を、僕は誘導しただけ。
それだけに過ぎない〟って、思ってたほうがいい。
- 池添
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そうですよね。
僕はオルフェーヴルに獲らせてもらったんですもんね。
馬が僕をダービージョッキーにしてくれたんです。
- 四位
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そうそう、その気持ちさえ忘れなければ大丈夫。
秋にはいよいよ〝三冠〟が待ってるしな。
- 池添
-
そうですね。これまでに6頭しかいないんですもんね…。
- 四位
-
でも、ダービーであの競馬ができたんだから、今あるのは〝自信〟だけでしょ。
かかってこいや!みたいな。
- 池添
-
はい。あの馬は、もうそういう立場だと思ってます。
どんな相手でも、受けて立ちますよ。
祝・ダービー制覇!四位洋文×池添謙一『〝ダービー〟というドラマを語ろう。』