『ジョッキーという仕事が大好きです』 騎手オタク(!?)秋山真一郎騎手を直撃!

(取材日=2011年7月21日)

騎手になったきっかけは…洗脳されてた!?

この夏、函館で目立っている騎手といえば…そう、秋山真一郎騎手である。
8月7日終了現在、函館リーディングこそ7位(10勝)も、
勝率14.3%、連対率24.3%は、滞在しているジョッキーのなかで(騎乗数50鞍以上)、堂々の3位。
なにより好調の証は、人気を問わない活躍だ。
『また秋山か!』。そう言って一喜一憂している競馬ファンの方も実に多いのではないだろうか。

さて、そんな秋山騎手、みなさんはどんなイメージをお持ちだろうか。
ルックスは──そう、間違いなくイケメンである。
いわゆる〝甘いマスク〟っていうお顔ですね(表現が古くてスミマセン)。
勝利ジョッキーインタビューで見せる立ち振る舞いも、実にしなやかで、語り口もクール。
いっぽう、お酒の席では、かなり〝弾けている〟という噂もしばしば…。
じゃあ、秋山騎手って、ホントはどんな人!?
というわけで、今回、マジメな話からプライベートまで、いろいろと聞いてみました。

97年、栗東・野村厩舎から騎手デビュー。今年で15年目を迎えた秋山騎手。
5年前にある雑誌で目にした彼のインタビュー記事には、
『勝負に徹したいから、乗り役の友達はあえて作らない』
『外国人騎手や地方騎手の参戦は、ほんとにいい迷惑です』
と、書かれていた。
正直、〝優等生〟的なイメージとかけ離れた答えは、ある意味〝強烈〟だった。

秋山
その当時から、とくに気持ちやスタンスに変化はないですよ。
というか、デビューしたころからずーっと変わりません。
とにかく、
ジョッキーという仕事が大好きですから。

とにかくジョッキーという仕事が好き──
何のてらいもなく、サラリと言ってのける彼の原点は、やはり子供のころにある。

秋山
僕はオヤジがジョッキーをやっていたので、
トレセンで育ったんですよね。
そのころから競馬が好きで、競馬の話ばっかりしてましたから、
今思うと、気持ち悪い子供だったと思います(笑)。
中学生のころとかも、周りから浮いていたと思う。
仲が良かったのは、幸ちゃん(武幸四郎騎手)とか、
今、角田厩舎にいる坂口とか…、競馬界に同級生がいっぱいいますね。
みんなで競馬の話ばっかりしててね、
ほかの子たちからは、気持ち悪いと
思われてたんじゃないかな(笑)。

秋山騎手の父は、元ジョッキーの秋山忠一氏(現調教助手)。
いわく『誰からも愛される人。父を超えることは、一生できない』
通算勝利数では父を大きく上回った今も、
秋山騎手にとって父・忠一氏の存在は偉大であり、特別なのである。
そんな父の背中を見て育った彼は、小学生5年生から乗馬を始めた。

秋山
乗馬をやりたいと思えば、すぐにできる環境でした。
ジョッキーになろうと思ったきっかけは…
正直、思い出せません(笑)。
とにかく、ほかの知識が入ってこないから。
洗脳されてたのかな(笑)。
だから、迷いもなく。

12期生と比べられるのが、嫌で嫌で仕方なかった

トレセンで育ち、競馬関係の仕事に就いた人はたくさんいる。
その理由は「なんとなく…」だったり、「周りがそうだったから…」だったり、
人それぞれだが、彼の場合は「とにかく競馬が好きだったから」。
ここに彼の原点がある。

かくして、競馬学校に入学。
武幸四郎騎手、松田大作騎手、勝浦正樹騎手、村田一誠騎手、武士沢友治騎手などがそろう13期生は、
競馬学校史上、最高となる13人が卒業した期だ。

秋山
競馬学校は嫌な思い出しかないですね。
楽しかった思い出はひとつもない。
人数が多くてまとまりがなかったし、
とにかくいつもひとつ上の先輩と比べられて
(ひとつ上の12期生は、
 福永祐一騎手、和田竜二騎手など)、
それが嫌で嫌で仕方なかった。
僕らのときは、精神論の時代でしたからね。
「もっと根性出せ! ガッツを見せろ!」って、
毎日毎日、言われてました。
でも今は、それがよかったのかなって思うこともありますけど。

まとまりのなかったという13期生だが、
小耳に挟んだ情報によると、毎年、北海道で同期会を開くとか…!?

秋山
あぁ、何度か飲みました。ただ、
人数がある程度集まると、
必ずモメますね(笑)。
何でモメるんやろうな…、すごく些細なことだと思うんですけど。
もともと俺は、仲間意識とか薄くて、
先輩、同期、後輩にかかわらず、仕事のときは極力しゃべりたくない。
ただ、自分以外の誰かが勝つんやったら、
同期が勝ってくれたらいいなとかは思いますけどね。
そもそも騎手って、ホンマに孤独な職業だと思うんです。
騎手同士で助け合うなんていう機会は、俺はないと思ってるんでね。
だからって、人を蹴落とすとか、そういうのとは違いますよ。
でもやっぱり、意識的に友達を作ろうとか、
仲良くしようとかは思わないですね。

『乗り役の友達は作らない』──彼のこの精神は、実に一貫している。
それが、同期であってもだ。以前、彼はこんなことを言っていた。
『自分の性格的にね、(友達を作ると)勝負に徹することができなくなると思うんですよね。
  進路を開けてあげたり、しちゃいそうな気がするから』。

驚くべきは、デビューしたてのころから、そんな自分の性格を踏まえて決めたのだという。
18歳。世間でいえば、高校3年生という、仲間との時間が一番楽しい時期でもある。

秋山
騎手になって、
まず思ったのが「騎手同士、みんなえらい仲がいいな」って。
まずこそに違和感を感じましたね。
なんか違うんちゃうか…と。
自分がイメージしていた〝騎手〟、と周りの雰囲気に、
ズレみたいなものを感じました。

それから14年半。
『最近は、マユちゃん(黛騎手)がやたらベタベタしてくるんで(笑)、
  一緒にいる時間が長いですね。やっぱりかわいいですね』
といいつつ、
『俺、ホンマに友達いないっすね』とポツリ。
愚問と知りつつ『寂しくはないですか?』と、彼に聞いてみた。

秋山
寂しい…それはありますよね。そうはいっても、
ジョッキーってやっぱり孤独ですから。
それが〝ジョッキー〟というものじゃないかと俺は思ってますけど。

自分で感じた違和感に逆らうことなく、勝負に徹してきた秋山騎手。
次回は、厳しかったという野村厩舎所属時代から、転機となったベッラレイアのオークスまで、
秋山騎手の軌跡を追う。

(第2回へ続く)

『ジョッキーという仕事が大好きです』 騎手オタク!? 秋山真一郎騎手を直撃

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