(岩田取材日=2012年1月26日)

──
JRAに移籍してから今年で7年目ですが、一昨年以外はすべて100勝超、
GIも数多く優勝しています。傍から見たら順風満帆に見えるのですが、
ご自身はどう思われているのですか?
岩田
運がいいよね。ホンマに名馬に出会う機会が多くて感謝しています。
アドマイヤムーンもそうやし、ウオッカ、ヴィクトワールピサ、ブエナビスタ…、
みんな名馬だよね。
ブエナビスタも、ビリーヴもそうやったけど、
まさか自分が引退式に出られるとは思ってもみなかった。
ホンマにありがたいことです。
──
毎年のように名馬に巡り会っていますよね。
とくに昨年は、ブエナビスタとともに戦った一年でした。
岩田
春は2着が続いて悔しかった。
ブエナビスタに乗って勝てへん騎手って言われてね。
──
秋の天皇賞では、国内で初めて3着以下(4着)に負けました。
岩田
あのときは、宝塚記念以来の久々ということもあって半信半疑やった。
実際、反応もイマイチだったんやけど、それでも最後は伸びてくれて…。
なんで信じてあげられなかったんだろうと、
ホンマに自分に腹が立った。
──
次走のジャパンCでは、リベンジされましたね。
岩田
心の底からうれしかった。
ブエナビスタの力を信じて乗ったし、
ファンもすごく喜んでくれて、泣いている人もいた。
ホンマにいろいろな人に愛されている馬やから、
そのすべてを背負って乗りましたよ。
だから、プレッシャーは相当だったんですよ。
──
岩田騎手は、以前から考え込むタイプだとおっしゃっていましたが、
プレッシャーをはねのけるためのリラックス方法などはあるのですか?
岩田
うーん、パチンコをするくらいかなぁ。
──
打っているときは何も考えなくていいからですか?
岩田
ううん、"勝ちたい!"って常に考えてる。負けたら腹が立つやん。
そのときは"もう1回いったる!"って思ってしまう(笑)。
──
岩田騎手にとっての一番のリラックス方法は"勝つ"ことなんですね(笑)。
岩田
そう、競馬でも勝つと勢いに乗れるからね。
──
話をブエナビスタに戻しますが、有馬記念がラストランでしたが、
岩田騎手にとっても昨年の最後の騎乗でした。
勝てば、その時点で福永騎手と並んだわけですが、
リーディングは意識されていましたか?
岩田
いや、まったく頭になかったよ。なんとか ブエナを勝たせてあげたい
と思っていたから。いいレースをしたいっていうだけやったね。
──
ブエナビスタの調子はいかがでしたか?
岩田
すごく良かった。それに楽にいいポジションも取れた。
ただ、体調が良すぎたのと、
さらにいいポジションを取りすぎてしまった感じはするよね。
すべてが理想すぎて、かえっていつもと違う競馬になってしまった。
それにブエナも、引退するってことを知っていたんじゃないかと思う。
直線で他馬に抜かされたときの感じがいつもと違って、 スーッと引いていく感じやったから。
"これからはアナタたちにまかせたわよ"って感じで。
まぁ、あくまでも"かもしれない"なんやけど。

──
ブエナビスタは、引退することを知っていたのかもしれませんね。
そのブエナは引退しましたが、今年も楽しみな馬がたくさんいますね。
3歳では東スポ杯を圧勝したディープブリランテがいますし、
古馬では昨年の天皇賞・秋を制したトーセンジョーダンと
コンビを組む予定です。
ディープブリランテについては、どのような感触を持たれているのでしょうか?
岩田
ひと言でいうと、"スゴい馬"。
──
2戦目の東スポ杯では、道中引っかかっているように見えて、
距離を不安視する声も聞こえますが。
岩田
まぁ、デビュー2戦目ということもあったし、気にならない程度ですよ。
──
クラシックを意識できる馬ですか?
岩田
そうやね。今まで乗ったこの時期の3歳馬の中では一番素質があるかもしれない。
東スポ杯はゲートを出たのと、スローだったこともあって、
前で競馬をしたけど、あれで4コーナーを馬なりで上がっていけたからね。
不良馬場で走りづらそうだったけど、それでも突き放してくれた。
軽くしか追ってなかったし、まだ馬が遊んでいるんですよ。
マスコミの評判も良さそうだし、
順調にいけば、ダービーでも人気になるんやないかな。
──
福永騎手が主戦のジョワドヴィーヴルも、
牝馬ですがダービーに登録していますから、実現すれば話題になりそうですね。
岩田
そうやね。 俺も今年こそ
"ダービージョッキーになる"夢を叶えたい。
──
JRAに移籍してから毎年ダービーに騎乗されて、
1番人気も2度経験されています。
今年こそはですね。
岩田
正直、もうブルってます(笑)。
まぁ、それは冗談として、
ディープブリランテは、共同通信杯から始動(2月12日)。
暮れのレースを使わずに休ませたのは正解だったと思うし、
ホンマに楽しみやね。
──
初コンビを組むトーセンジョーダンの印象はどうですか?
岩田
現時点でのトップホースの1頭。いい馬が回ってきたね。
──
同門のオルフェーヴルが一番の強敵だと思いますが、
岩田騎手から見たオルフェーヴルの印象を聞かせてください。
岩田
まず、エンジンが違うよね。ディープインパクトみたいな加速度を持っている馬だよ。
とくに神戸新聞杯のときが一番スゴかった。
俺はダノンミルに乗っていたんだけど、アッという間にかわされたからね。
もうF1を見ているみたいやった。
──
そのオルフェーヴルとは天皇賞・春で対戦します。
岩田
強いのは認めざるをえないよね。ただ、まだ完成していないと思うから。
乗っていないけど、トーセンジョーダンも乗りやすそうだし、
長距離も合っていそう。
チャンスはあると思いますよ。
──
今年はどんな年にしたいですか?
岩田
そりゃ、"打倒福永祐一"やで。
ただ、リーディングは後からついてくるもの。
目の前の一戦一戦を大事にして、その結果リーディングを取れたらいいね。
一年が終わったときに、"いい一年だった"と思えるような年にしたい。
──
そのためには、いかに好不調の波をなくすか、ですね。
岩田
空いている時間をいかにうまく使うかやろうね。
リラックスしたり、競馬のことをほどよく考えたり。
がんばりますわ!

福永祐一vs岩田康誠 "当事者"がそれぞれに振り返る2011年『The Leading Battle』

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