(取材日=2012年9月19日)

──
昨年、岩田さんは、JRAリーディングでは2位。
年末に「来年は絶対に負けない! 絶対にリーディングを獲る!」
っておっしゃってましたよね。
そんななか、昨年1位の福永さんが、2カ月間アメリカへ……。
岩田
これはブッチ切って勝たないかん! と思ってたんやけど、
気がついたら、俺より上に浜がいた(笑)。
浜中
まさかこの時期に、自分の名前がリーディングの一番上にあるなんて…。
岩田
トップにいる重圧といったら、すごいやろ?
浜中
そうですね…。
周りからもリーディング云々言われますから、
やっぱり意識はしてしまいますね。
岩田
浜はまだ、(リーディング争いを)経験したことがないからな。
俺は園田でいろいろ経験したから、
追う気持ちも追いかけられる気持ちもわかる。
追いかける立場は、めっちゃ楽(笑)。
浜中
僕なんか、もう1鞍1鞍必死ですよ…。
岩田
俺は今年、絶対にリーディングを獲るよ。というか、獲りたい。
今年は、勝ち星はもちろん、内容にもこだわらなアカンし。
それだけの馬に乗せていただいているからね。
秋のGIも、3勝はせなアカンと思っている。
プレッシャーもあるけど、ワクワク感のほうが大きいかな。
浜中
今年の岩田さんは、本当に充実していますよね。
なにしろ、ダービーを勝ったわけですから!
岩田
はい、おかげさまで…。
浜中
僕、めっちゃ感動しましたよ。
中間、いろいろなことがあったときも、近くで見ていましたからね。
本当にかっこよかったです。
岩田
そういえば、自宅に花を贈ってくれたよな。そこに
『未来のダービージョッキーより』
って書いてあった(笑)。
めっちゃうれしかったよ。ありがとう。
浜中
後輩というより、
岩田さんのひとりのファンとして、すごくうれしかったんです。
応援しているジョッキーが勝つと、こういう気持ちになるんだ…って、
ファンの気持ちが少しわかりました。
岩田
泥臭い競馬やったけどね。
でもやっぱり、あのハナ差っていうのは、すごく大きくて。
あのハナ差で、“ダービージョッキー”として競馬史に名前が残るわけやから。
その重みが、獲ってからわかったよ。
来年も勝ちたいし、
引退するまで乗り続けたいレースやね。
浜中
ブエナビスタにしてもディープブリランテにしても、
そこに至るまでの過程でいろいろ苦労されて。
だからこそのあの涙なんですよね。
勝った喜びが涙に変わることって、
そこにハートがあるからこそだと思うんです。
それこそが競馬の深さというか、ドラマだと思うので、
僕も騎手として体験したいなと思います。
ダービーで馬の首に抱きついて泣いている岩田さんを見て、
いいなぁ、かっこいいなぁって、すごく思いました。
僕も早くそういう馬に出会いたい。
岩田
リーディング争いで目立つということは、
いい馬に出会えるチャンスも増えるということ。
あとはお前が、チャンスを生かせるかどうかや。
──
デビュー6年目でリーディングを争えるジョッキーなんて、
そうはいませんからね。
ところで、岩田さんから見て、
浜中さんのように伸びる騎手と伸びない騎手は、なにが違うと思いますか?
岩田
そうやなぁ…、
まず“目”が違うね。 俺からすると、ジョッキーの“目”をしてない子が多い。
伸びしろのある子は、いっぱいおるんやけどなぁ。
減量があるときは乗れてたけど、
減量が取れると乗れへんようになるって、なんでなんやろ。
もっと勝てる要素を持ってるのに、伸びない、伸ばさないっていうのは、
すごくもったいないと思う。
そういう思いもあって、積極的に若手と交流を持とうとしてるんやけどね。
浜中
この世界、すぐに誰かと誰かを比較して、答えを出したがりますよね?
騎乗フォームひとつをとっても、すぐに欠点を探して、誰かと比べる。
で、「○○ジョッキーが理想」って、決めたがるし、決めさせたがる。
僕はそういうのがすごく嫌だし、
若手にとってもいい環境だとは思えないんです。
人それぞれの乗り方、スタイルがあっていいわけで、
比べる必要なんてないのに。
僕は本当に、そういう風潮が嫌いなんですよ。
そもそも、正解なんてないわけだし。
──
なるほど。
だから浜中さんはデビュー当初から、
理想とするジョッキーとして具体名を挙げたことがないんですね。
浜中
そうですね。あくまでも大きな夢として、
『デットーリみたいになりたい!』とか、言ったことはありますけどね。
でも
「目標のジョッキーは?」って聞かれたときは、
今でも「勝つジョッキーです」って答えてます。
個人名は挙げてないですね。
岩田
お前、すごいなぁ!
そこまで考えてたんだ。さすがやね(笑)。
ねぇねぇ、俺にも『目標とするジョッキーは誰ですか?』って聞いてよ。
──
わかりました(笑)。
岩田さんが目標とするジョッキーは誰ですか?
岩田
的場文男さん!
浜中
岩田さんは、いつも的場文男さんの名前を挙げますよね。
岩田
あの人は最高やで。あんな人、おらへんよ。
ぜいぜい言いながらも、今でも1日5勝したりするんやで。
俺は、“中央の的場文男”を目指す!
 
(第4回へ続く)

岩田康誠×浜中俊『世代を超えた“同志”の競馬談義』

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