(取材日=2013年4月25日)

第2回 四位洋文騎手、岩田康誠騎手

──
四位騎手にとって、一番思い出に残っているダービーといえば?
四位
それはやっぱり、自分が勝ったダービーです。
一番思い出に残っていると言えば 初めて勝ったウオッカのダービーかな。 子供のころから夢見ていたレースを、
まさか自分が勝てるなんて思っていなかったし、
ましてや牝馬で男馬を差し切っちゃったわけだから。
自分のなかでも、すごくインパクトの強い出来事でした。
レースで勝って泣いたのも、
あの時だけだと思います。
小さいころに乗馬を始めて、騎手を目指して…って、
一瞬のうちにいろんなことが思い出されて、
さすがに込み上げてくるものがありました。
──
ご自身が騎乗していないダービーで、
とくに印象に残っているレースはありますか?
四位
それは迷わず、
ミスターシービーのダービーです。 同じ鹿児島出身の吉永正人先生が騎乗されていて、
先生のご兄弟も鹿児島で牧場をやっていらしたので、
すごく身近な出来事に感じましたね。
──
始めてダービーに騎乗されたのは、デビュー4年目の95年。
パートナーはイブキラジョウモンでした(9着)。
どんな心境だったか、覚えていらっしゃいますか?
四位
まだ若かったら、
ただひたすらうれしくて、
ワクワクしていた覚えがあります。
それなりに緊張はしたんでしょうけど、
その後に自分が経験した数々のプレッシャーを考えれば、
なんてことはなかったと思います。
レースでは、見事に何もできませんでしたね(笑)。
──
08年のダービーは、1番人気ディープスカイで勝利。
“ダービーの1番人気”というのは、どんな心境でしたか?
四位
あの緊張感は、なんともいえないものでしたね。
あのときのディープスカイはすごくデキが良かったこともあって、
“負けたらどうしよう…”っていうよりも、
“負けられない!”っていう
  プレッシャーのほうが大きかったですね。
とにかく、落とせないレースだと思いました。
でも、前の年にウオッカでダービーを勝たせてもらっていたことが、
精神的にプラスに働いたのは間違いありません。
ダービーの味を知っているという事実が、自信になりましたから。
そういう意味でも、ウオッカでの勝利は大きかったですね。
──
ゴールした瞬間の気持ちも、
ウオッカとディープスカイのときでは違いましたか?
四位
ウオッカのときは、
もうなにがなんだかわからないというか、ふわふわした感じでした。
ディープスカイのときは、
うれしいのはもちろんですが、それ以上に安堵感が先立ちましたね。
──
改めて、四位さんにとってダービーとは、どんな存在のレースですか?
四位
天皇賞やジャパンCなど、格式の高いレースはほかにもありますが、
僕はダービーこそが
最高のレースだと思っています。
──
ダービージョッキーになるために、必要なことは何だと思いますか?
四位
運気や流れってすごく大事で、そのいい流れがきたときに、
ジョッキーとしてそれをキャッチできるかどうかですよね。
いつそういう流れがきてもいいように、
ジョッキーとして準備をしておくことは当たり前のことですから。
だから、目には見えないものですけど、
必要なのは運を引き寄せる力かな。
もうひとつは、
常日頃から馬を大切していること。
これは絶対です。
──
ダービーは、同じ騎手が乗り続けている馬が圧倒的に強いレースです。
その重要性について、四位さんはどう思われますか?
四位
建物に例えるなら、土台作りから始まって、
そこからいろんな過程を経て完成させますよね。
その過程で、作る側の方向性が一貫していないと、家は傾いてしまう。
馬も同じで、同じチームで同じ方向を見て馬を作っていくということは、
すごく大事なことだと思います。
新馬からずっと一緒に戦って、癖などもすべて把握しているのが理想ですよね。
だから、どんなに強い馬でも、僕はテン乗りはマイナスだと思いますよ。
ずっと一緒に戦ってきたコンビには、やっぱり敵わないですから。
出たとこ勝負で勝てるほど、
ダービーは甘くはありませんよ。
──
最後に、今年のダービーはどんなところに注目していますか?
四位
今のところ、自分は乗る馬がいないので興味がないです(笑)。
というのは冗談で、今年は混戦だと思いますよ。
皐月賞は関東馬のロゴタイプが勝ちましたけど、
ダービーとなると、まだまだわからない。
混戦ならではのおもしろさがあると思いますね。

四位騎手の日本ダービー騎乗成績

騎乗馬 着順
95年 イブキラジョウモン 9着
96年 イシノサンデー 6着
98年 エリモソルジャー 10着
00年 アタラクシア 3着
01年 テンザンセイザ 6着
02年 タイガーカフェ 10着
03年 マイネルソロモン 18着
04年 コスモサンビーム 12着
05年 シックスセンス 3着
06年 ドリームパスポート 3着
07年 ウオッカ 1着
08年 ディープスカイ 1着
10年 ルーラーシップ 5着
11年 リベルタス 中止

──
岩田騎手にとって思い出のダービーといえば?
岩田
やっぱり昨年のディープブリランテですね。
ゴールした時は、フェノーメノが外からきていたので、
勝ったかどうかわからなかったんです。
地下馬道を下りる前に掲示板を見たら、
1着のところにブリランテの馬番が点滅したので、
その瞬間、力が抜けましたね。
ダービージョッキーになったという気持ちよりも、
これまでブリランテと共にやってきたことが正解だったな、
一番いい答えが出てよかった、という気持ちのほうが強かったです。
──
騎乗していないダービーで、思い出のレースはありますか?
岩田
キングカメハメが勝った04年ですね。
あの時は、園田競馬場のテレビで観ていました。
NHKマイルCで、すごく強い勝ち方をしたでしょ。
それでいて、もう一段上のギアがありそうだったので、
ダービーではどのくらいの強さを見せるか、注目していたんです。
いやぁ、実際スゴかった(笑)。
──
06年のダービー(フサイチジャンク11着)が初騎乗ですが、
当時はどのような心境だったのでしょうか?
岩田
今振り返ってみると、舞い上がっていたのかな。
緊張はしなかったんですよ。
ダービーの重みも知らなかったし、
とにかく勝ちたい、
という一心だけだったんですよね。
ただ、ガムシャラで…。本当にあの頃の自分は未熟でした。
──
そして、09年のダービー(アンライバルド12着)では
初めて1番人気に支持されました。
岩田
あの時は45年ぶりの大雨でのダービーでしたよね。
アンライバルドは良馬場でこそ、いい脚を使える馬だったので、 正直「ちょっと、待ってくれよ…」と思いました。 しかも大外18番で…。
当日は1番人気のプレッシャーを感じる前に、
どういう競馬をすればいいか、そればかりを考えていました。
今思うと、“まだ、勝つな”ってことだったんでしょうね。
──
騎手にとってダービーとはどのようなレースなのでしょうか?
また、岩田騎手にとってのダービーとは?
岩田
すべての競馬関係者が追い求めるレースでしょうね。
僕も昨年勝たせていただきましたが、
もう一度勝ちたい、何度でも勝利を味わいたいと思わせるレースです。
──
ダービージョッキーになるために必要なことは何だと思いますか?
岩田
経験と結果でしょう。 ダービーに騎乗するということではなく、騎手としての経験ですよね。
どんな馬に騎乗しても結果を残していくことで、
自信もつきますし、レベルも上がっていきます。
ダービーでも動じることなく、
自分の持っているモノをすべて出し切れる状態にもっていくことが大事。
そうならないと、ダービーは勝てないですよ。
──
最後に、今年のダービーのここに注目すれば、より面白い
と思うようなところがあれば、教えてください。
岩田
キズナに騎乗する(武)豊さん、エピファネイアの(福永)祐一くん、
コディーノのC.ウィリアムズ、ロゴタイプのC.デムーロ。
有力馬に騎乗する彼らが
どういった競馬をするかに注目したら、面白いと思いますよ。
 
第3回は、福永騎手が登場

岩田騎手の日本ダービー騎乗成績

騎乗馬 着順
06年 フサイチジャンク 11着
07年 アドマイヤオーラ 3着
08年 メイショウクオリア 17着
09年 アンライバルド 12着
10年 ヴィクトワールピサ 3着
11年 サダムパテック 7着
12年 ディープブリランテ 1着

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